御遷宮の諸祭・諸行事

伊勢の神宮の御遷宮は30以上の諸祭・諸行事から構成されています。第62回の御遷宮の際に、執り行われたお祭りと行事は以下の通りです。


山口祭 

遷宮の御造営最初の祭儀で、新宮の御用材を伐り出すに当たり、御杣山の山の口に坐す神に伐採と搬出の安全を祈る祭典です。

御杣山は時代とともに変遷し、現在は木曽(長野県・岐阜県)に定められていますが、山口祭は神路山、高倉山の山麓で行われます。

 

 

木本祭 

御正殿の床下に奉建する心御柱の御用材を伐採するにあたり、その木の本に坐す神を祀ります。木本祭は古くより神秘の儀式とされ、真夜中に行われます。奉伐された御料木は新殿完成時まで皇大神宮は御稲御倉、豊受大神宮は外幣殿に安置されます。

 

 

御杣始祭 

御用材を木曽の御杣山で正式に伐り始めるお祭りです。

最初に御樋代木と呼ばれる、御神体をお納めする御器を奉製するための檜を伐採します。御樋代木は御杣山の山中で左右に並ぶ二本の檜を選び、「三ツ緒伐り」という古式の作法で伐り倒します。

 

 

御樋代木奉曳式 

御杣山で伐採された御樋代のための御用材を、内宮と外宮の両宮域内の五丈殿前に曳き入れる儀式です。

御樋代の御料木は、沿道の各地で盛大な歓迎を受けながら週日を経て伊勢に陸送されます。伊勢に到着した御用材は、内宮・外宮とも古式のままに神域へ曳き入れられます。

 

 

御船代祭 

御樋代をお納めする器である「御船代」の御用材を伐採するお祭りです。両宮域内に宮山祭場を定め木本の神をまつり、「物忌」と呼ばれる童男童女が草木を刈り初め、小工が伐採の式を行います。

 

 

御木曳初式 

御杣山より伐り出された御用材を、皇大神宮と豊受大神宮の両宮に曳き入れる伝統行事です。

 

 

木造始祭 

御造営の作業を始めるに際し、作業の安全を祈るお祭りです。御木曳初式で奉曳された御木に小工が忌斧を打ち入れる所作を行います。

 

 

お木曳行事(第一次) 

神領民と全国の崇敬者により、御用材を古式のままに両宮域内へ曳き入れる盛大な行事です。内宮は五十鈴川を川曳し、外宮は御木曳車で陸曳します。

 

 

仮御樋代木伐採式 

「遷御」の際に御神体を納める「仮御樋代」の御用材を伐採するにあたり、木の本に坐す神をお祀りし、忌斧を入れる式です。

 

 

お木曳行事(第二次) 

御木曳行事は地元の神領民の誇りとして奉仕されます

 

 

鎮地祭 

新宮を建てる新御敷地で行われる最初のお祭りです。造営作業の安全を祈り大宮処に坐す神を祀ります。このお祭りを節目に遷宮諸祭は山作から庭作へと進められていきます。

 

 

宇治橋渡始式 

皇大神宮の入口に架かる宇治橋は、遷宮の度に架け替えが行われ、古式ゆかしく渡り始めが行われます。

 

 

立柱祭 

御正殿の建築はじめに際し、御柱を建てるお祭りです。建物の守り神として崇められる屋船大神に平安を祈り、束柱を貫き支える足堅と四間樌の木口を小工が木槌で打ち固めます。

 

 

御形祭 

御正殿の東西の妻の束柱に円形の図様を穿つお祭りで、立柱祭に続いて行われます。

 

 

上棟祭

御正殿に棟木を上げるお祭りです。古儀の通りに測量をした後、神職と造営庁職員が棟木から伸ばされた綱を曳いて棟木をあげます。

 

 

檐付祭 

御正殿の御屋根の萱を葺き始めるお祭りで、屋船大神に祈りが捧げられます。

 

 

甍祭

御正殿の萱も葺きおわり、金物を打つお祭りです。代表的な金物が御正殿前に奉安され、小工が金槌で打つ所作をします。

 

 

お白石持行事 

神領民が新宮に御白石を奉献する行事です

 

 

御戸祭 

御正殿の御扉を立てるお祭りで、扉に鑰穴を穿ちます。御扉が付くことは造営工事の完了を意味するとされています。

 

 

御船代奉納式 

御神体のお鎮まりになる「御船代」を刻み、御正殿に奉納します。

 

 

洗清 

新殿の竣功にあたり殿内と殿外を洗い清める儀式です。

 

 

心御柱奉建

心御柱は正殿の御床下に建てられる特別な御柱で、忌柱、天ノ御量柱とも呼ばれます。

 

 

杵築祭 

新殿の竣功を祝し、大宮処を撞き固めるお祭りです。祭儀に先立ち五丈殿で饗膳の儀を行い、神職は白杖を持ち新殿の周りを巡り、古歌を歌いながら柱の根本を撞き固めます。

 

 

後鎮祭 

新宮の竣功に際し、御正殿の床下に天平瓮を奉居するお祭りです。先の鎮地祭の対になるお祭りです。

 

 

御装束神宝読合

天皇陛下より大御神に献ぜられる御装束神宝を、新宮の四丈殿において、式目に照らし読み合わせる儀式です。御装束は大御神の御召し物や殿内の装飾の御料、神宝は威儀物で遷宮毎に古式通り新調し奉納されます。

 

 

川原大祓 

遷御の前日、仮御樋代・仮御船代や御装束神宝を始め、遷御に奉仕するすべての奉仕員を「川原祓所」で祓い清める儀式です。

 

 

御飾 

遷御当日、新調された御装束で殿内を装飾し、大御神にお遷りいただく準備をする儀式です。

 

 

遷御 

大御神が本殿から新殿へとお遷りになる式年遷宮の中核をなすお祭りです。天皇陛下には遷御に際して勅使を派遣され、また出御の時刻には宮中の神嘉殿の前庭から遥かに伊勢のかたを御拝されます。

 

 

大御饌 

遷御の翌日の早朝、新殿において初めて大御神に神饌を奉るお祭りです。

 

 

奉幣 

天皇陛下より奉られる幣帛を奉納し、その後五丈殿で饗膳の儀が行われます。古くは「一社奉幣」と称され、遷御と共にひときわ重んじられてきた祭儀です。

 

 

古物渡 

古殿内の神宝類を新宮の西宝殿に移す儀式です。

 

 

御神楽御饌

御神楽を執り行うに先立ち、大御神に神饌を奉るお祭りです。

 

 

御神楽 

新宮の四丈殿において、天皇陛下がお遣わしになった宮内庁楽師が御神楽を奉納する遷宮諸祭の最後を飾るお祭りです。勅使神宮祭主以下が座に着き、庭燎の明りがゆれる中、深夜まで御神楽が奏でられます。